西野神社 社務日誌

札幌市西区の西野・平和・福井の三地区の鎮守(氏神様)であり、縁結び・安産・勝運上昇等の御神徳でも知られる西野神社の、公式ブログです。

安産の象徴としての犬

創祀百二十年記念碑

昨年6月に当社の境内に建立された創祀百二十年記念碑は、その可愛らしい形状(12匹の子犬たちが中央に座る母犬を囲むように配されている形状)や、子宝・安産・健康等の御利益があることから、とても人気があり、参拝に来た人や近くを通った人は大抵足を止め、見つめたり撫でたりしていきます(写真参照)。

記念碑をなぜ犬の形にしたのかというと、犬は、当社の御祭神(豊玉姫命)の御神徳である安産と育児を象徴しているからです。たまたま今年(平成18年)が戌年であることから、今年の干支に合わせて犬の形の記念碑にしたと誤解している人もいますが、12年に1回の年のためだけに、犬の形にしたりはしません(笑)。

この記念碑は、御影石で造られた可愛らしい犬たちと、記念事業の奉賛者の氏名が刻まれた台座により構成されており、記念碑のメインともいえる犬の彫像は、中央の母犬とその周囲で母犬に甘えたり兄弟で遊び合ったりする12匹の子犬たち(子犬の前にはそれぞれ、その子犬に対応する干支の文字が刻まれています)により構成されています。祈願の仕方としては、子宝を祈願する場合は中央の親犬を撫でながら、安産を祈願する場合は生まれてくる子供の干支の子犬を撫でながら、健康を祈願する場合は自分の干支の子犬を撫でながら、それぞれ祈願します。

ところで、なぜ犬が安産や育児の象徴とされているのかというと、犬はお産が軽く、それに加え多産だからです。戌の日に腹帯を巻いたり、戌の日に神社で安産の御祈祷を受けたりするのは、犬にあやかってお産が軽く済むようにという願いからです。

しかし、動物の中では犬だけがお産が軽いわけではありません。そもそも犬に限らず動物は、人間に比べると総じてお産が軽いと云われています。そうであるにも関わらず、動物の中でも犬のお産の軽さだけが特に強調されるのは、多くの動物の中でも人間にとっては犬が最も身近な存在で、しかも犬は、人間の誕生や葬送に関わる習俗の中にもたびたび登場する動物であることが大きな理由となっているようです。例えば、乳児の初めての外出のときには額に犬の字を書いたりしますし、葬送習俗では、死者にかける頭陀袋(ずだぶくろ)の中に洗米や米糠を入れることがありますが、これは、死者が死出の旅路で犬に出会ったときに食べさせるためのものだとも云われています。

こういった習俗や伝承からも、犬は古来から、あの世とこの世の境界にいてその境を守り、そしてその境界を往来すると考えられいたようで、戌の日に腹帯を巻いたり安産祈願の御祈祷を受けたりするのは、犬のお産が軽いというイメージと同時に、犬が人の霊魂の往き来に関わる動物であるという民俗信仰が深く関わっているのです。また、犬はよく吠えて家を守るため、邪気を祓う意味もあると云われています。

ちなみに、今回貼付の写真に写っている、創祀百二十年記念碑の犬を撫でているカップルは、今年の6月に結婚するそうです。おめでとうございます! (当人の承諾を得て掲載させて頂きました。)

(田頭)