西野神社 社務日誌

札幌市西区の西野・平和・福井の三地区の鎮守(氏神様)であり、縁結び・安産・勝運上昇等の御神徳でも知られる西野神社の、公式ブログです。

氏神・産土神・鎮守神

神宮

たまに、「氏神(うじがみ)様と産土神(うぶすながみ)様の違いを教えてください」とか、「鎮守(ちんじゅ)って何ですか」と訊かれることがあります。この三つの言葉の使い分けについては、以前、当社ホームページ掲示板上でも述べたことがあったのですが、今はその投稿も消されているため、今日は改めて、氏神産土神・鎮守の違いを述べさせていただきます。

本来の「氏神」という言葉の意味は、古代社会において氏族が祀った祖先神または守護神のことで、一言でいうと“その一族の神様”ということです。例えば、物部氏氏神は布都大神(ふつのおおかみ)をお祀りする石上神宮藤原氏氏神天児屋根命(あめのこやねのみこと)をお祀りする春日大社忌部氏氏神天太玉命(あめのふとたまのみこと)をお祀りする忌部神社橘氏氏神梅宮大社などとされています。一方、「産土神」というのは、自分が生まれた土地(ふるさと)の神様のことをいいます。ですから、氏神産土神の違いとは、簡単にいうと「血縁的な神様か地縁的な神様か」ということです。

鎮守神とは、一定の場所・土地に住む人々や、建物を守護する神様のことをいいます。平安時代以降、神仏習合が進むにつれて寺院では神霊を勧請してその神霊を寺院の鎮守神としてお祀りするようになり(比叡山山王権現高野山の丹生明神など)、その後、寺院のみならず、家屋においてもその館をお守りする鎮守神が祀られるようになり、また、荘園や領地単位でも鎮守神がお祀りされるようになりました。さらに、もっと大規模な範囲、例えば一国や一城、国家や王城を鎮護する鎮守神などもお祀りされるようになりました。先月4日付の社務日誌「神社の社格」のなかで詳しく述べた「一の宮」も、その国の鎮守神といえます。当社の近くに鎮座する北海道神宮は「北海道総鎮守」を名乗っていますが、これは、北海道全体の鎮守神という意味です。

このように氏神産土神鎮守神とは、本来は厳密に差異のある、それぞれが意味の異なる言葉であったのですが、中世以降は、武士が荘園での在地性を強化していく過程でその土地の神様を氏神として祀るようになり、そのため氏神を祀る集団の性格が血縁から地縁へと変わっていくようになり、その結果、氏神産土神は混同されるようになっていきました。厳島神社平氏氏神石清水八幡宮鶴岡八幡宮が源氏の氏神とされるようになったのも、こういった流れによります。

また、鎮守神が荘園内に勧請されることにより、氏神鎮守神も混同されるようになり、氏神産土神鎮守神の三つの言葉は、本来はそれぞれ意味が異なるものの、現在では、「自分が住んでいる地域を守護して下さる神様」という意味で、ほぼ同義語として使われるようになっています。

氏子(うじこ)という言葉も、本来は氏神を祀る氏族の子孫を意味していたのですが、現在は、氏族とは関係なしに、その神社の祭祀圏内に住んでいている人達を氏子と呼ぶようになっています。

ですから、「氏神様って何ですか?」と訊かれた場合の回答としては、「本来の氏神様とは、その一族をお守りする神様のことをいうのですが、現在では主に、その地域を守ってくださる神様、という意味で使われています」という回答が、より正確であると思います。

なお、神社神道最大の信仰の中心地であり、神社本庁包括下の全ての神社が本宗(ほんそう)と仰ぐ伊勢の神宮(写真参照)は、皇祖(天皇家の祖先神)であると同時に、日本人全員の総氏神様でもあり、また、日本国の総鎮守でもあります。

(田頭)