西野神社 社務日誌

札幌市西区の西野・平和・福井の三地区の鎮守(氏神様)であり、縁結び・安産・勝運上昇等の御神徳でも知られる西野神社の、公式ブログです。

扇風機には要注意!

今月1日付の記事でも述べましたが、私は3年前、神職の資格(階位)を取得するため京都の神職養成所に在学していたのですが、そのとき、私とは在籍している課程が違ったものの同じ養成所に在学していた人が、先月実家で、23歳の若さで心不全により亡くなりました。

仕事に疲れて家に帰り、扇風機の冷風を浴びた状態でつい転寝してしまったそうなのですが、そのまま目覚めることなく、体温が奪われ続けて、翌朝、冷たくなった状態で家族に発見されたのです。私は、彼とは特に親しくはありませんでしたが、学校では何度も顔を合わせ、何度か話をしたこともあり、そして何よりも彼はまだ23歳という若さでしたから、彼が亡くなったことには大きな衝撃を受けました。

死因は心不全とのことですが、その心不全のきっかけとなったのが扇風機であった、ということにも驚きました。扇風機の冷風で人が亡くなってしまう、ということは、私を含め扇風機を使っている人であれば、誰もが常に死の危険がある、ということになるからです。そこで今回は、社務とはほとんど関係のない話になってしまいますが、なぜ扇風機で人が亡くなるのか、ということと、どうすれば安全・快適に扇風機を使えるのか、ということを考察してみたいと思います。

「扇風機をつけたまま寝ると死ぬこともある」とは昔から言われており、実際私もそういった話は過去に聞いたことがありますが、ただ、実際に扇風機の風で人が亡くなったというニュースを身近で聞く機会がなかなかないため、なかには、「扇風機をつけたまま寝ると死ぬこともある」というのは全く根拠のない話で、所謂“都市伝説”の類だ、などと勝手に解釈している人もいます。しかしそれはとんでもない誤解で、先程挙げた例のように、実際に扇風機の風で人が死ぬことは確かにあり、また、そういった事例は過去に何度もあります。対外的には単に「死因は心不全」とだけ公表されることが多いため、扇風機の冷風を浴び続けたことがその原因となったことが、世間にはなかなか伝わってこないだけなのです(ただ、最近はテレビや本などでもこういった事例が紹介されるようになってきたため、その危険性も認知されつつあります)。

扇風機は、暑い夏を快適に過ごすためには欠くことのできない便利なアイテムである反面、使い方を誤ると、死に直結することも在り得る、実は危険なアイテムでもあるのです。冷風により体温が奪われるので危険、ということは、扇風機だけではなくクーラーも危険といえますが、しかしクーラーの場合は、特定の一部分だけではなく部屋全体を冷やすように冷風が吹き出るため、扇風機ほど危険は高くありません。

最も危険なのは、扇風機の首振り機能を使わずに特定の一箇所(人間)にずっと冷風が吹き付けている状態で、タイマー(一定時間が経つと電源がオフになる機能)も使用しないで、そのまま寝てしまった場合です。このような状態が続くと、体温がどんどん奪われて血管の血液循環が変わり、最終的には心臓麻痺などで死に至ることがあるのです。

この時期は、デパートやスーパー、会社やホテルのロビー、列車やバスなどでは、必要以上にクーラーが効いていることがあり、座る位置によっては、冷風が自分に直接かかってくることがあります。その場合、初めは心地良くても、時間が経つとだんだんと苦痛になってきます。そういったときは場所を変えればそれですむことですが、しかし、その場所が異様に混雑していたり、あるいは目上の人から接待を受けている場合など、すぐには場所を変えるのが困難な場合もあります。こういった場合も危険なのかというと、実はこの場合は(寒くなって下痢になるなど体調が悪くなることはあっても)生命には何ら別状はありません。目が覚めているときはアドレナリンがきちんと分泌され、体が冷風に対応してくれるからです。

問題なのは、寝ているときなのです。特に、疲れているときやお酒に酔っているときはかなり危険です。通常の状態なら、冷風を浴びたまま寝てしまったとしても、寒さを感じると目を覚まし、扇風機のスイッチを消したり布団を掛け直したりしますが、疲れているときやお酒に酔っているときは爆睡したまま目覚めることなく、体温が下がり続けて、そのまま逝ってしまうことがあるのです。

また、赤ちゃんも注意が必要です。涼風を浴び続けたことにより赤ちゃんが亡くなってしまったという事例は過去に何度もあります。いくら蒸し暑いからといって、裸に近い格好で赤ちゃんに一晩中涼風を浴びせていると、体中の水分が奪われ脱水症状を起こしてしまうことがあるので危険です。また、乳幼児に強い風を当てておくと、呼吸が出来ずに死んでしまうというケースもあります。

以上のことから、寝るときには扇風機を消すことが最も望ましのいですが、どうしても暑くて扇風機のスイッチをつけたまま寝るときは、必ず弱風にして、首振りの機能を作動させ、扇風機の首は上方に向け、またタイマーも作動させる(長くても1〜2時間でスイッチをオフにする)、などの対処をするべきです。

今回は扇風機の危険性ばかりを特に強調しましたが、扇風機は、正しく使えば快適に夏を過ごせる便利なアイテムです。扇風機を製造しているメーカーも、その危険性を充分認識しているからこそ、「弱風」よりも更に弱い「微風」を設定したり、タイマー機能を充実させるなどしています。その危険性を充分認識した上で、正しく快適に、扇風機を使っていきましょう。

(田頭)