西野神社 社務日誌

札幌市西区の西野・平和・福井の三地区の鎮守(氏神様)であり、縁結び・安産・勝運上昇等の御神徳でも知られる西野神社の、公式ブログです。

神主になる方法


最近はあまり訊かれなくなりましたが、以前は私が個人的に運営していたホームページ(もう閉鎖しました)の掲示板などで、「神主になる方法を教えて下さい」、「どうやったら神主になれるんですか」、「階位の取得の仕方を教えて下さい」などとよく訊かれました。今でも、そういう問い合わせのメールをたまに受けることがあります。しかし、「神主になる方法は?」と訊かれても、現実には、誰もが簡単にすぐに神主になれるというわけではありません。

現実には神職の大半は社家(宮司の職を継いでいる家系)の子弟ですが、社家の子弟は最初から神職になる方法は把握しているはずですから(本人は知らなくても親は知っているはずです)、「神主になる方法は?」と尋ねてくる人はほぼ全て、社家以外の人(つまり一般家庭出身の人)です。しかし、社家以外の人が神職になることは、一昔前に比べればかなりその事例が増えてきているとはいえ、まだ一般的といえる程の状況ではありません。

しかし、そういう私自身、社家の出身ではないですし、社家出身以外の神職がだんだんと増えてきているのは事実です。私としても、一般出身の神職が増えることは神社界にとっても良い意味で刺激となり、それは神社界全体にとっても有益はことだと思っています。一般出身で神職を志す人は、神道や神社に対しての志や理想が高い人が多く、また、私はそうではないですが(笑)勉強熱心で知識が豊富な人も多いです(その反面、一般出身で神職を志す人の中には、理想を高く持ちすぎて現実とのギャップに落胆して挫折してしまう人や、神社によってはほとんどプライベートのない所もあるためそういった環境や人間関係に耐えられずに辞めてしまうといった人も少なくはありませんが)。

というわけで今日は、改めて「神主になるための方法」をまとめてみたいと思います。ただし、「神主になるための方法」とはいっても、今回まとめたのはあくまでも神職階位の取得方法であって、神社への奉職の仕方ではありません。当然のことですが、階位を取得しても実際に神社に奉職できなければ神職にはなれませんので、その点は御了承下さい。

階位証を授与されても、それは直ちに神職であることを意味するわけではありません。この点は、出家や得度をしたからといって直ちに現職の僧侶として活動できることを意味するわけではないのと一緒です。


■階位の意義

階位とは一言でいうと「神主になるための資格」のことで、階位は上から順に、浄階(じょうかい)、明階(めいかい)、正階(せいかい)、権正階(ごんせいかい)、直階(ちょっかい)の5階等に分かれており、これらの階位のいずれかを取得しなければ、神職以外の職員(巫女、事務員、警備員、用務員など)として神社に採用されることはあっても、神職として神社に任用されることはありません。神社本庁の庁規第八十七条にも、「神職は階位を有し、且つ、神社神道を信奉する者のうちから任用する」と明記されており、階位を取得することは神職になるための絶対前提条件とされているのです。

もっとも、階位はあくまでも一宗教法人である神社本庁が授与する、本庁・神社庁及び本庁包括下の神社でだけ効力を発する資格ですから、本庁の包括下にはない神社では、階位を取得していなくても、その神社が認めれば神職になることは可能です。とはいっても、それはあくまでも建前であり、現実には階位を取得していないと神職になることはほぼ不可能です。そもそも本庁包括下の神社が世の神社の絶対的大多数を占めている以上、どのみち階位は必要不可欠なものなのですが、仮に最初から単立の神社への奉職を目指す場合であっても、やはり階位を取得していないと、神職として神社に奉職することは極めて困難だと思います。単立の神社に奉職している私の知り合いをみても、そのなかで階位を持っていないという人は一人もおりません。

確かに制度上は、単立の神社であれば階位を持っていなくても神職となることは可能なのですが、しかし階位を取得しているということは、その階位を取得するために必要な勉強や実習を積んできたという対外的な一つの証明ともなり、逆に階位を持っていなければ、どんなに立派で博識な人でも、余程の実績(もしくは強力な霊能力やカリスマ性)がない限りは周囲の人々からはただの“自称神主”と見られてしまうため、「篤く強固な信仰心と、神社についての高度な専門的知識があり、さらに人望もあれば、神主の資格などは必要ない。資格を持っていなければ神様に仕えることができないというのはおかしい」という理想論は通用しない現実があるのです。

その神社を支える役員や総代、崇敬会の人たちたちにとっても、自分たちの守るお宮の神職が、神職としての資格、つまり階位を持っていないとなると、やはりどうしても大きな不安を抱いてしまうのです(ただし教派神道系の教団では、その教団独自の教師資格を出しているところもあるので、そういった系列の神社では、その教団の資格さえ取得していれば本庁の階位は別段必要ないでしょう)。

こういったことからも、教派神道系の神社や、あるいは地域の人たちの支えが全く必要のない神社(例えば邸内社など)で奉仕する場合以外は、例え単立の神社であっても、やはり本庁の階位は必要不可欠なものだといえます。なお、各階位(浄階明階正階権正階、直階)についての詳細や、各階位の違いについては、3月16日付の記事「神職の階位」に詳しく書かせていただきましたので、今回は省略させていただきます。これらについては3月16日付の記事を御参照下さい。


■階位取得の概要

神社本庁包括下の神社において、神職になるための前提条件である階位を取得する方法は、原則として以下の4つです。神職を志す人は、この4つのいずれかの方法を選んで階位の取得を目指します。

 ① 神職養成機関に入学する

 ② 階位検定講習会を受講する

 ③ 神職養成通信教育を受講する

 ④ 階位検定試験を受験する

例外として、上記①〜④以外にも階位を取得する方法は一応あります。例えば、神職高等試験に合格した者、神宮皇學館皇學館大学の前身)を卒業した者、皇典講究所学階学正を有する者、國學院大學の学部または専門部を昭和23年までに卒業し在学中に礼典を履修した者、元奏任待遇以上の神官神職の経歴を有し神社庁長において神職として適当と認めた者、その他本庁が特に神職として適当と認めた者などは、上記①〜④のいずれの要件を満たしていなくても、本庁に階位を申請することができます。

しかし、今挙げたこれらの事例は、主に戦前の資格によって階位を申請する方法であり、終戦から60年以上も経った今の世で神主になりたいと思っている人のなかに、これらの例外事項に該当する人がいるとは思えないので、今回はこれらの例外事項はすべて無視し、前述の4点(①〜④)に絞って以下にまとめさせていただきます(ちなみに、①〜③は「無試験検定」、④は「試験検定」といいます)。


①神職養成機関に入学する

神社本庁指定の神職養成機関としては、「國學院大学」と「皇學館大学」という2つの大学と、「出羽三山神社神職養成所」、「志波彦神社塩竈神社神職養成所」、「熱田神宮学院」、「京都國學院」、「神宮研修所」、「大社國學館」という6つの神職養成所があります(後述する通信制大阪國學院も含めると7校になります)。

このうち、國學院・皇學館の両大学には、高等課程、専攻課程Ⅰ類、専攻課程Ⅱ類、明階総合課程が置かれており、國學院大学にはこれに加えて普通課程Ⅰ類と普通課程Ⅱ類が置かれています。また、前述の6校の養成所には、普通課程Ⅰ類と普通課程Ⅱ類が置かれ、それに加え、京都國學院には専修課程が、大社國學館には予科が置かれています(今述べた各課程の詳細については後述)。

社家出身ではない、一般家庭出身の人が神職になろうとする場合は、これらの神職養成機関に入学して卒業時に階位を取得するという方法が最も一般的です。養成機関に入学すると、入学時に奉職先が全く決まっていない場合でも(普通は決まっていませんが)、各養成機関に神社から求人がきたり、養成機関で奉職の斡旋をしてくれたりするので、社家出身ではない人でも在学中に奉職を決めることができます(ただし、現実には奉職が決まらない場合もあります)。そういう意味でも、社家出身でない人には養成機関へ入学する方法がお勧めです。ちなみに、私は京都国学院出身です。

≪神職養成機関≫

以下に、上記養成機関の簡単な概要を記させていただきます。詳細を知りたい方は、直接各養成機関にお尋ね下さい。

國學院大学

明治15年に東京で創設された皇典講究所を母体として、明治23年、国史や国文を攻究する3年制の教育機関として「國學院」の名で開設され、大正9年に大学に昇格しました。

現在、文学部(日本文学科、中国文学科、外国語文化学科、史学科、哲学科)、神道文化学部神道文化学科)、法学部法律学科)、経済学部(経済学科、経済ネットワーキング学科、経営学科)、大学院(文学研究科、法学研究科、経済学研究科)、法科大学院、専攻科、別科が設置されており、校舎は東京都渋谷区にあります。

これらの学部・学科のうち、神社本庁指定の神職養成機関として神職の養成に当っているのは、神職養成課程の「高等課程」である神道文化学部、「専攻課程」である専攻科、「普通課程」である別科です。従来、「高等課程」とされていたのは文学部神道学科でしたが、平成14年4月に、文学部神道学科を改組拡充して新たに神道文化学部が開設され、それ以後は神道文化学部が「高等課程」として神職の養成に当っています(神道文化学部は今年の3月に第1期卒業生を輩出しました)。

なお別科は、普通課程としては唯一大学に置かれている課程です。別科の学生は、他の養成所の学生のように一社における斉一的な奉仕という方式ではなく、三十数社に分散した実習を行なっており、原則として実習神社に住み込むことになっています。別科には、正階取得のための別科神道専修Ⅱ類(2年制)と、権正階取得のための別科神道専修Ⅰ類(1年制)の2課程があります。

皇學館大学

明治15年、伊勢の神宮の林崎文庫内に皇學館が設けられたことを創立とし、明治36年に内務省所管の官立専門学校となり、昭和15年に文部省所管の神宮皇學館大学となりました。しかし昭和21年、GHQ(連合国軍総司令部)の方針により廃学となり、64年の歴史に幕を閉じたのですが、昭和37年に「学校法人皇學館大学」として再び設立され、現在に至ります。

現在、文学部神道学科、国文学科、国史学科、教育学科、コミュニケーション学科)、社会福祉学部社会福祉学科)、大学院(文学研究科、社会福祉研究科)、専攻科が設置されており、校舎は、伊勢キャンパス(三重県伊勢市)と名張キャンパス(三重県名張市)に分かれています。これらの学部・学科のうち、神社本庁指定の神職養成機関として神職の養成に当っているのは、神職養成課程の「高等課程」である文化部神道学科と、「専攻課程」である専攻科です。

ちなみに、國學院大学の卒業生が「院友」と称されるのに対し、皇學館大学の卒業生は「館友」と称されています。仏教系やキリスト教系の大学は全国に数多くありますが、神道系の大学は、國學院大學と、この皇學館大学の2校だけです。

出羽三山神社神職養成所

山伏の修行道場として有名な出羽三山神社山形県羽黒町に鎮座)が運営する、神社本庁指定の神職養成機関で、出羽三山神社の参集殿内にあります。明治16年に皇典講究所山形分所として創立され、昭和37年に神社本庁から権正階課程の乙種養成機関として承認を受け、昭和55年に2年制に移行し現在に至っています。現在、高校卒業者及びそれと同等以上の学力のある者を対象に毎年10名の学生を募集しています。

出羽三山神社神職養成所の特徴としては、羽黒古修験の行法を習得できることがあげられます。崇敬者達で賑わう7月から9月までは、授業は休講となり全日課を月山、羽黒山湯殿山での神務実習にあて、秋の峰の山伏修行(8/26〜9/1)では全員が入峰します。2年生は、各山にそれぞれ分散し臨時出仕として社頭奉仕に務めます。また、神職としての礼法を身につけるため、茶道も取り入れています。

志波彦神社・塩竈神社神職養成所

志波彦神社・塩竈神社神宮城県塩竈市に鎮座)が運営する、神社本庁指定の神職養成機関で、志波彦神社塩竈神社の境内にあります。志波彦神社塩竈神社は小高い山の山頂に鎮座しているため、神社からは、日本三景の一つ、松島湾が望めます。昭和5年に神社内に設けられた実務練習生制度が前身となっており、戦争中の昭和18年に宮城県知事の認可を受け、現在の名称となって神職養成機関となりました。昭和21年には、神社本庁から普通神職養成機関としての認可を受け、2年制の正階課程を設置し、現在に至ります。

現在、高校卒業者(ただし高校卒業後1年未満の者)を対象に毎年10名の学生を募集しています。学生は全員、志波彦神社塩竈神社社務所に寄宿し、神務実習の他、年間を通じて畑作業も行っています。年1回、父兄会総会と授業参観が行われています。

熱田神宮学院

熱田神宮名古屋市熱田区に鎮座)が運営する、神社本庁指定の神職養成機関で、熱田神宮境内の南東角にあります。創立当初の名称は「熱田神宮普通神職養成所」で、昭和25年に1年制の正階課程として開校しました。昭和37年に2年制に改められ、現在、高校卒業者及びそれと同等以上の学力のある者(ただし満25歳未満)を対象に毎年16名の学生を募集しています。現在の校舎は平成8年に竣工した新しい建物で、学生寮は校舎内に併設されています。OB会である「草薙会」の活動も活発で、在校生への助言や会員相互の親睦等に努めています。

京都國學院

京都市上京区京都御所のすぐ近く)に校舎を構える、神社本庁指定の神職養成機関で、養成所のなかでは最も古い伝統を誇っており、明治40年に設立された京都府皇典講究所分所教育部がその前身となっています。養成所のなかでは唯一の学校法人でもあり、正式な校名は「学校法人 京都皇典講究所 京都國學院」といいます。学校の事務局は学院(校舎内)ではなく石清水八幡宮京都府八幡市に鎮座)の社務所内に置かれています。

現在、高校卒業者及びそれと同等以上の学力のある者を対象とした正階取得のための普通課程Ⅱ類(2年制、募集人員20名)と、権正階取得の普通課程Ⅰ類(1年制、募集人員20名)、そして短大卒もしくはそれと同等以上の学力を持つ者を対象とした、卒業時に明階検定合格・正階授与とされる専修課程(2年制、募集人員20名)の3課程が設置されています。専修課程が設置されている養成機関は、全養成機関の中でも京都國學院のみです。

Ⅰ・Ⅱ類ともに普通課程は全寮制で、普通課程の学生は全員、石清水八幡宮境内の学生寮に寄宿し、午前中は石清水八幡宮で実習し、午後は学校(京都市内)に通い授業を受けます。専修課程は、普通課程のように全員が同じひとつの神社で実習をする訳ではなく、京都市内もしくはその近隣に鎮座する各神社に分散して実習を行います。専修課程の学生は、自分が実習する神社に住み込むか、もしくは実習神社の近くにアパートを借りるなどして住み、午前中は学校で授業を受け、午後は各実習神社で実習をします。

神宮研修所

全国の神社が本宗と仰ぐ伊勢の神宮三重県伊勢市に鎮座)が運営する、神社本庁指定の神職養成機関です。神宮研修所の前身は、昭和27年に設けられた中堅神職の養成を目的とする神宮神務実習制度で、この制度では、実習生は全員東京の神宮寮に寄宿し、授業は國學院大學神道研修部別科に委託され、夏季・冬季の休暇中に神宮において神務実習を行い、修了者は引き続き神宮で1年間神宮学を修得するという内容でした。昭和30年、その神宮神務実習制度の名称を「神宮皇學館」と改称し、普通神職養成機関としての制度を拡充させました。ところが昭和43年、國學院大學学制改革に伴い神道研修部別科への委託学生制度が廃止となり、当分の間授業は休講することを余儀なくされました。しかし神宮皇學館の存続を要望する声が強く、昭和44年、名称を「神宮研修所」と改め、神社本庁指定の甲種神職養成機関として2年制の正階課程を設置し、現在に至ります。

現在、高校卒業者及びそれと同等以上の学力のある者(ただし満25歳未満の男子のみ)を対象に毎年10名の学生を募集しています。養成機関の中では唯一の男子校です。

大社國學館

出雲大社島根県大社町に鎮座)が運営する、神社本庁指定の神職養成機関で、出雲大社境内にあります。昭和13年に神道精神の高揚をはかるため出雲大社境内に設立されたのが始まりで、敗戦の混乱により昭和23年に一時休校しましたが、昭和31年に、神社本庁指定の普通神職養成機関として再発足しました。現在、高校卒業者及びそれと同等以上の学力のある者を対象とした正階取得のための本科生コース(2年制、募集人員15名)、権正階・直階取得の選科生コース(1年制、募集人員若干名)、中学校卒業者のために特別に設けられた予科(別科)生コース(1年制、募集人員若干名)の3課程があります。予科が設置されている養成機関は、全養成機関の中でも大社國學館のみです。

神職として必要な忍耐力や克己心を養うため、1月の大寒の日には国譲り神話で有名な「稲佐の浜」で禊をおこない、また6月晦日には、大祓詞百巻奏上の行事が行なわれます。卒業生は、無試験検定により各課程に応じた階位が授与されるのは他の養成機関と同じですが、大社國學館の場合は階位の他に、出雲大社教の教師資格も授与されます。OB会としては「宇迦山会」があります。

≪神職養成課程≫

前項では各養成機関(大学2校、養成所6校)の概要を記させていただきましたが、次に、これらの神職養成機関に設置されている各課程の概要についてまとめさせていただきます。平成18現在、神職養成課程には以下の8課程があります(後述する通信課程を含めると全10課程になります)。

予科

対象は中学卒業者で、修業年限は1年です。修了時、「直階」が授与されます。大社國學館にのみ設置されている課程です(但し同養成所では別科と呼称しています)。

普通課程Ⅰ類

対象は高校卒業以上もしくは予科を修了した者で、修業年限は1年です。修了時、「権正階」が授与されます。國學院大学出羽三山神社神職養成所志波彦神社塩竈神社神職養成所、熱田神宮学院京都國學院大社國學館に設置されている課程です。なお、正階取得を希望する修了者は、普通課程Ⅱ類の2学年に編入することができます。

普通課程Ⅱ類

対象は高校卒業以上もしくは予科を修了した者で、修業年限は2年です。修了時、「正階」が授与されます。この課程は、國學院大学出羽三山神社神職養成所志波彦神社塩竈神社神職養成所、熱田神宮学院京都國學院神宮研修所大社國學館に設置されています。
なお、普通課程に在籍する学生の大半(9割以上)はⅡ類の学生で、どの養成機関でもⅠ類の学生は若干名であり、各養成所(神職養成機関普通課程)の主流(メイン)はⅡ類です。私もこの課程の出身です。

専修課程

対象は普通課程Ⅱ類修了者、正階所有者、短大卒業以上(もしくはそれと同等以上の学力を有する者)のいずれかに該当する者で、修業年限は2年です。修了時、「明階検定合格・正階授与」とされます。京都國學院にのみ設置されている課程です。

高等課程

対象は高校卒業者で、修業年限は4年です。修了時、「明階検定合格・正階授与」とされます。國學院大学皇學館大学の学部に設置されています。ここで挙げている全8課程の中では毎年最も履修者(卒業者)が多い課程で、神職養成機関の中核を成している課程といえます。

専攻課程Ⅰ類

対象は大学卒業者で、修業年限は1年です。修了時、「明階検定合格・正階授与」とされます。國學院大学皇學館大学神道学専攻科に設置されています。

専攻課程Ⅱ類

対象は大学卒業者で、修業年限は2年です。修了時、「明階」が授与されます。國學院大学皇學館大学の大学院に設置されています。

明階総合課程

対象は高等課程の4年に在籍する者(年次末で高等課程の必要単位を全て修得し、神務実習も全て修了している者)、もしくは専修課程、高等課程、専攻課程Ⅰ類のいずれかを修了した者、もしくは階位検定試験により明階検定に合格した者のうち、明階検定合格後2年以内の者です。修業年限は6ヶ月以上(30日の神社実習を含む)で、修了時に「明階」が授与されます。國學院大学皇學館大学に設置されています。


②階位検定講習会を受講する

國學院・皇學館の両大学や各神社庁では、毎年夏もしくは春に、正階権正階、直階の検定講習を実施しています。神職養成機関に入学して階位の取得を目指すと、どの課程に入学するかにもより大きく異なりますが、最低でも階位の取得までには1年以上の期間がかかりますが(明階総合課程の履修期間は6ヶ月ですが、他の課程を履修するなどして既に明階検定に合格していることが受講の条件となるため、トータルで考えると6ヶ月間だけで明階が取得できるわけではありません)、検定講習会を受講すれば、1ヶ月程度で該当階位の検定合格証を授かることができます。

しかし、検定講習を受講する場合は、まず自分が受講しようとする階位よりすぐ下の階位を持っていなければ、その講習は受講できません。ですから、階位を持っていない者や、あるいは直階しか持っていない者が、いきなり正階の検定講習を受けることはできません。正階の検定講習を受講するには、既に権正階の階位を取得していることが条件となり、同様に権正階の検定講習を受講するには、既に直階を取得していることが条件となるのです。

一昔前はこういった条件はなかったので、階位は持っていない人でもいきなり正階権正階の検定講習を受講することができたそうですが、今は、検定講習で階位を取得する場合は直階、権正階正階と順番に講習を受講しなくてはなりません。また、一昔前は奉職神社が決まっていない場合でも検定講習を受講することができたので、「ただ神職の資格だけが欲しい」というだけの人でも受講できたそうですが、現在は、予め奉職する神社が決まっていないと検定講習は受講できません。

つまり現在は、社家以外の者にとっては、検定講習で階位を取得するという方法は、実はあまり現実的な方法ではないのです(もともと階位の検定講習は、家を継ぐ等の理由で早急に神職になる必要がある社家の子弟を対象として始められたものです)。勿論、「受講は社家出身者のみ」と限定されているわけではないので、現在でも受講要件を満たせば誰でも受講は可能ですが。

ただ、養成機関に入学して階位の取得を目指す学生は10代もしくは20代が大多数を占めますが、検定講習会の受講者は、養成機関に在学する学生よりは年齢層が高く、会社を中途退職もしくは定年退職した人、婚姻もしくは養子縁組等によりこれから社家に入る人、宮司の親族(奥さんや子供)など、受講者の層は養成機関の学生よりも多様です。

なお、神職養成機関の場合は、卒業するために必要な履修単位のなかに実習が含まれているため、卒業と同時に階位が授与されますが、正階権正階の検定講習の場合は講習の中に実習が含まれていないため、講習の修了時に階位の検定合格証の交付を受けただけでは階位は授与されず、その後神社で神務実習を行い実習修了証の交付を受け、それらをすべて終えた後で階位授与の申請を行うことで、階位が授与されます。ただし、直階の検定講習の場合は、講習内容に実習が含まれているため、講習修了と同時に階位が授与されます。

ちなみに、検定講習の受講には年齢制限があり、国大主催の講習は65歳以下、皇大主催の講習は70歳以下の者が受講対象となっています。神社庁主催の講習の場合は、その講習を主催する神社庁によって異なります。以下に、検定講習の概要をまとめさせていただきます。

講習会の目的

神職の子弟その他の神職を志す者に、短期集約教育をもって、神道に関する基礎的知識と必要な技能を教授し、神職としての信仰を深めると共に品性の陶治を図るため教育を行い、もって階位を与えるに足る人材を養成することを目的として開講されます。

講習会の受講資格

正階検定講習】 短期大学卒業者及びこれと同等以上の学校(旧制高等学校旧制専門学校高等専門学校)卒業者、または大学学部の三年以上に在籍している者で、権正階を有し、主催者において適当と認めた者。

権正階検定講習】 年齢満18歳以上の者で、直階を有し、主催者において適当と認めた者。

【直階検定講習】 高等学校以上の学校卒業者、またはこれに準ずる学力を有する者(大学入学検定試験に合格した者、旧制中学校を卒業した者)で、主催者において適当と認めた者。もしくは、主催者において神社維持のため階位取得に緊急かつやむを得ない事情があると認められた年齢満15歳以上の者で、補助講習を受講した者。

【共通事項】 現に神職である者、または資格取得後直ちに神社に奉務する予定の者。

講習会の受講申請

当該者(上記受講資格を満たす者)は、定められた身上書に必要事項を記入し、推薦者の推薦を得て、それを受講申請書及びその他主催者が必要とする書類に添付して、受講の申請をしなければなりません。なお、推薦者は、主催地県内に居住する受講者については支部長または神社宮司をもってし、県外者については、当該受講者の居住地を所管する神社庁の庁長とします。

講習会の期間

講習会は、予め主催者が指定した休日を除き、正階検定講習は30日以上、権正階検定講習は25日以上、直階検定講習は23日以上の日数をもって行なうこととされています。なお授業時間数は一時限を50分とし、一日の授業時限数は8時限以内とします。

ちなみに、当該全期間を継続して実施することを原則としていますが、本庁がやむを得ない事情があると認めた場合は、教育上の効果を損なわない範囲(講習の開始から修了までの期間が3年以内で、かつ分割回数が3回以内の範囲)で分割して実施することができます。また、講習会は、訓育を行なうため全期間合宿制とすることを原則としていますが、本庁がやむを得ない事情があると認めた場合は、他の方法をもってこれに代えることができます。

平成17年度の講習会実施状況

正階検定講習会】 平成17年度は、8月〜9月にかけて、國學院大學皇學館大学の主催によりそれぞれ開催され、計29名が受講しました。正階の検定講習会が開講されるのは毎年國學院・皇學館の両大学のみで、神社庁では開かれていません。

権正階検定講習会】 平成17年度は、山口県神社庁京都府神社庁長崎県神社庁、宮崎県神社庁、愛知県神社庁三重県神社庁高知県神社庁兵庫県神社庁島根県神社庁國學院大學皇學館大学の主催により開催され、計248名が受講しました。このうち、國大・皇大主催の講習会は2月〜3月にかけて開講されましたが、それ以外の講習会は全て7月〜9月にかけて開講されました。

【直階検定講習会】 平成17年度は、岐阜県神社庁、鹿児島県神社庁広島県神社庁長崎県神社庁山口県神社庁三重県神社庁高知県神社庁京都府神社庁島根県神社庁國學院大學皇學館大学の主催により開催され、計360名が受講しました。このうち、國大・皇大主催の講習会は2月〜3月にかけて開講されましたが、國大・皇大・岐阜県神社庁主催以外の講習会は全て7月〜9月にかけて開講されました。岐阜県神社庁主催の講習会は唯一分割実施され、一昨年の8月と昨年の8月の2回に分けて開講されました。

【備考】 以上、合計637名が階位検定講習会を受講しました(平成17年度)。ちなみに、山口県にはかつて「山口県神社庁付属学院」という普通養成機関があったのですが、山口県神社庁ではこの学院の伝統を守って、毎年夏に検定講習会を継続実施しているそうです。なお北海道神社庁では、ここ数年、検定講習会は開講していません。

京都府神社庁主催の検定講習会の事例

階位検定講習会の講習期間や募集人員、受講料などは、その講習会を主催する大学・神社庁により異なりますが、参考までに、平成16年度の夏に京都国学院の校舎を会場に開講された、京都府神社庁主催の階位検定講習会の概要を以下に記しておきます。

【主催】 京都府神社庁

【講習期間】 7月28日〜8月31日まで(直階、権正階とも)

【会場】 京都國學院

【受講資格】 権正階の講習会は、直階を有し年齢18歳以上の者。直階の講習会は、高卒以上もしくはこれに準ずる学力を有する者で年齢75歳未満の者。

【受講料】 神職子弟は110,000円(直階、権正階とも)、その他は130,000円(直階、権正階とも)

【募集人員】 権正階の講習会は25名、直階の講習会は48名

【願書受付】 6月30日必着

なお、他の神社庁が主催している講習会の場合はどうなのか知りませんが、京都府神社庁が主催する階位検定講習会の場合、受講希望者は、本講習会に出席する前に神社庁が行なう説明会に出席しなければなりません。本講習会は京都國學院で開かれますが、この説明会は、京都國學院ではなく京都府神社庁の庁舎で行なわれ、昨年は平成16年度は7月10日に開催されました。説明会では、神職を志す者の心構えや講習会の主旨などが説明されるそうです。直階の検定講習会をを京都府内で受講した権正階受講希望者のみ出席の義務は免除されるそうですが、それ以外の受講希望者は必ずこの説明会に出席しなければならないそうです。

また、京都府神社庁ではこの講習会の開催に先立ち補助講習も行なっております。補助講習というのは、学歴で本講習会の受講資格に満たない人(中卒者、高校中退者など)が受講する講習会のことで、受講資格に満たない人はこの補助講習を修了することで、本講習会の受講有資格者となります。ですから、既に本講習会の受講資格を持っている人は受講する必要はありません。平成16年の補助講習は、7月25日〜27日まで、3日間に渡って開催されました。

ちなみに、他の神社庁では毎年必ず講習会が開催されている訳ではありませんが、京都府の場合は受講希望者が多いため、階位検定講習会は毎年開催されています(京都国学院の校舎を講習会場とするため、毎年、京都国学院の学生が夏季休暇に入り校舎を使わなくなる7月〜8月にかけて開講されています)。


③神職養成通信教育を受講する

現在、神職養成の通信教育を実施しているのは「財団法人 大阪國學院」一校のみです。以下にその大阪國學院の概要をまとめさせていただきます。

大阪國學院とは、大阪府神社庁会館の5階に置かれている、神社本庁指定の、通信教育による神職養成機関です。神職を志すものの他に職業があって神職養成の学校や講習会等に行く余裕のない人々に、通信によって神道に関する基礎知識と必要な能力を教授し、神職としての信仰を深め、神職の階位を与えるに足る人材を養成することを目的としています。ただし受講するためには、階位の取得後に奉職する神社が決まっており、その神社の宮司及びその神社が鎮座する都道府県の神社庁長の推薦を得られることが必要です。

大阪國學院の学生は、担当の講師が作成した学習指導書によって自己学習し、期日までにレポートを提出して添削評価を受けるほか、入学式、終了式、期末試験、夏季と冬季のスクーリングなど年間6回の面接学習を受けます。大阪國學院には以下の2課程が設置されています。

【直階課程】 対象は高校卒業以上で満25歳以上65歳以下の者で、修業年限は1年です。修了時、所定の神務実習の履修を終えていれば「直階」が授与されます。

権正階課程】 対象は高校卒業以上で満25歳以上65歳以下の者で、修業年限は2年(ただし既に直階を取得している場合は1年)です。修了時、所定の神務実習の履修を終えていれば「権正階」が授与されます。

修了後は、多くの卒業生が正階明階の検定試験を受験し、合格しているそうです。また、OB会としては「かつおぎ会」があり、国内東西に支部を設け、積極的に活動しています。現在、大阪國學院の修了生は、全国神職総数の7%強を占めているそうです。


④階位検定試験を受験する

最後に階位検定試験についてですが、これは直接検定試験を受験することで階位を取得するという方法ですが、その試験はかなり難易度の高いため、現実には、受験する人はほとんどいません。勿論、これはあくまでも「ほとんどいない」ということであって、決して「全くいない」というわけではありません。受験者数は少ないながらも(合格者はさらに少ないです)、検定試験を受験して階位を取得する人は毎年確実にいます。

例えていうなら、自動車の運転免許を取得する場合、自動車学校に入学しなくても、直接運転免許試験場に行き、そこで一発で試験に合格すれば免許の取得は可能ですが、現実には、大半の人は自動車学校に入学して免許の取得を目指します。この例えが適切がどうかは微妙ですが、階位検定試験と、その他の方法(養成機関に入学、階位検定講習会を受講、通信教育を受講)で階位を取得することの違いは、この例えと似ているのでは、と個人的には思っています。

ちなみに、平成17年度中、明階正階権正階の各検定試験を受験した人の総数は56名で、このうち検定合格証を交付された合格者はたったの8名(明階2名、正階4名、権正階2名)で、一方、その他の方法(養成機関に入学、階位検定講習会を受講、通信教育を受講)により明階正階権正階の検定合格証を交付された人の総計は1549名でした。この比率をみても、検定試験の難易度の高さが窺えると思います。なお、階位検定試験は明階正階権正階の3つの階位についてのみ実施されており、浄階や直階の試験検定は実施されていません。

以上のことからも、実際に「神職になりたい」と考えている人のなかで階位検定試験を受験しようと思っている人はまずほとんどいないと思うので、あまり具体的なことは記しませんが、一応参考までに、以下に検定試験の概要を記しておきます。

実施時期

3月と9月の年2回

実施場所

神社本庁宮城県神社庁、愛知県神社庁大阪府神社庁、福岡県神社庁(ただし明階の検定試験は本庁でのみ実施)

受験資格

明階 高卒以上及びこれと同等以上の資格を有する者、もしくは正階を有する者

正階 権正階を有する者

権正階 高卒以上及びこれと同等以上の資格を有する者、もしくは直階を有する者

※備考 … 検定講習会等のように、奉職予定神社の宮司及び神社庁長の推薦書は必要ありません。

試験科目

明階 20科目(他に口述試験と小論文)、試験期間は5日間

正階 14科目(他に口頭試問)、試験期間は3日間

権正階 11科目(他に口頭試問)、試験期間は3日間


===== 追 記 =====

神職を志す方へ」というタイトルで平成25年5月15日にアップした以下の記事も、是非併せて御一読下さい。
http://d.hatena.ne.jp/nisinojinnjya/20130515


(田頭)