西野神社 社務日誌

札幌市西区の西野・平和・福井の三地区の鎮守(氏神様)であり、縁結び・安産・勝運上昇等の御神徳でも知られる西野神社の、公式ブログです。

屋祓の式次第

神棚

先月26日付の記事では地鎮祭の、同月28日付の記事では上棟祭の式次第を載せましたが、今日は屋祓(やばらい)の意義と式次第をまとめさせていただきます。

最近は、地鎮祭だけを執り行い、上棟祭と屋祓、もしくは屋祓だけは略してしまうというケースが少なくありませんが、地鎮祭で工事の無事を祈ったのですから、工事が無事に終わった時にも、感謝の気持ちを神様に奉告して今後の家庭の安全を祈る「屋祓」を執り行うのが本義といえます。つまり、建築関係の神事の順序としては、まず着工前に地鎮祭を行い、土台の基礎工事が終わって骨組みを組み立てて棟木を上げるときに上棟祭を行い、そして家屋が完成してから屋祓を行う、という順序になります。ただし、古い家屋を取り壊し、その上でその場所に新たに家屋を建て直す場合は、地鎮祭よりも先にまず解体の清祓い(解体奉告祭)を行うことになります。

なお、新築住宅の場合だけでなく、家屋を増改築をした際や、マンション、中古の家などを購入した際にも、やはり屋祓をして、清々しい気持ちで入居することが望ましいです。屋祓はできるだけ引越し前に、御家族揃って受けられるのが良いですが、どうしても都合が悪い場合は、引越しが終わって落ち着いてから屋祓を受けるようにしましょう。神棚は、なるべく屋祓を執り行う前までには設けるようにしておきましょう。

ちなみに「屋祓」とは主に一般住宅の場合に使われる言葉で、同じ主旨・内容の祭儀でも会社や事務所などの場合には普通「竣工祭」といい、また一般住宅の場合でも、地域や神社によっては「宅神祭」、「新宅祭」などと名称が異なることがあります。

以下は、当社が執り行う場合の屋祓(竣工祭)の式次第です。

① 修祓(しゅばつ)

祭典に先立ち、神職が、お供え物(神饌)と、参列者の方々をお祓いいたします。神職がお祓いの祝詞(祓詞)を奏上している間と、お祓いを受けるときは、軽く頭を下げましょう。

② 一拝(いっぱい)

屋祓の儀(竣工祭)を始めるに当たり、神職が、神棚に鎮まる神様に拝礼(深くお辞儀)いたします。参列者は、神職に合わせて一緒に拝礼(深いお辞儀を1回)いたしましょう。

ちなみに、地鎮祭や上棟祭では、修祓と献饌の間で「降神」を行いますが、屋祓での拝礼対象は神棚に納められた神札(既に神様が鎮まっておられます)であるため、屋祓では降神や昇神は行いません。

③ 献饌(けんせん)

神棚にお供えされている神饌を神様にお召し上がりいただくため、神職が御神酒と水器の蓋を開けます。

なお、祭壇にお供えする神饌は、地鎮祭や上棟祭のときと全く同じです。神饌の具体的な内容につきましては、1月22日付の記事を御参照下さい。

④ 大祓詞奏上(おおはらいことばそうじょう)

大祓詞」というお祓いの祝詞を奏上いたします。神職祝詞を奏上している間は頭を下げましょう。

⑤ 清祓(きよはらい)

神職と建主が、各部屋を回りお祓いをします。神職が各部屋で大麻(おおぬさ)という祓いの具を左・右・左と振りますので、建主はそのあとに、神職から渡された塩を左・右・左と撒きましょう。ただし家屋内なので、地鎮祭のときのように思い切り撒く必要はありません。

⑥ 祝詞奏上(のりとそうじょう)

神様に、無事に工事が竣工したことへの感謝を奉告し、あわせて建主とその御家族の家内安全と益々の御繁栄を御祈念いたします。神職祝詞を奏上している間は頭を下げましょう。

⑦ 玉串拝礼(たまぐしはいれい)

参列者が、神様に玉串を捧げて家内安全をお祈りします。建主、建主の御家族、業者の順に拝礼していただきます。拝礼作法は「二礼二拍手一礼」です。

⑧ 撤饌(てっせん)

神職が、御神酒と水器の蓋を閉じ、お供え物をお下げします。

⑨ 一拝(いっぱい)

屋祓(やばらい)の儀を終えるに当たり、神職が、神棚に鎮まる神様に拝礼(深くお辞儀)いたします。参列者は、神職に合わせて一緒に拝礼(深いお辞儀を1回)いたしましょう。

(田頭)