茅輪(ちのわ)作成
今日は、当社拝殿の向拝に舗設する茅輪(ちのわ)を作るため、宮司と一緒に山(盤渓方面)に茅(かや)を取りに行って来ました。特に形の良さそうな茅を選んで鎌で切り取り、神社に帰ってからは、早速宮司と共に神楽殿地下の車庫で茅輪を作成しました(写真参照)。
茅輪とは茅で作られた大きな輪のことで、当社の茅輪は直径が凡そ2.3mあり、明日から今月30日までの3日間、この茅輪を向拝に舗設致します。茅輪は、人形(ひとがた)と共に「夏越の大祓」を象徴する重要なアイテムといえ、「水無月の 夏越の祓ひ する人は 千歳の命 延ぶといふなり」という歌を唱えながら茅輪を潜ると、半年間の罪や穢れが祓われます。
茅輪の由来については、「備後国風土記」に以下のように記されています。神代の昔、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が、南海の方へとお出になる途中、ある地でお泊りになろうとして、その地に住んでいた蘇民将来(そみんしょうらい)と蘇民巨旦(そみんこたん)という名前の二人の兄弟に一晩の宿を求められました。しかし、弟の蘇民巨旦はとても裕福であったにも拘らずが素戔嗚尊の頼みを断り、一方兄の蘇民将来は、とても貧しかったにも拘らず素戔嗚尊をお泊めし、栗飯を饗するなどして御接待申し上げました。素戔嗚尊は蘇民将来のこの親切に大変喜び、蘇民将来に、「今後この地に悪い病気が流行った時には、蘇民将来の子孫であると言い、茅を以って作った輪を腰に付けなさい。そうすれば病気を免れるでしょう」と言って、その地を去りました。
こうした伝承から、茅輪の神事が今に伝わっているのです。また、この由来からも分かるように、当初の茅輪は腰に付ける事ができる程のとても小さなものだったのですが、時代を経るにつれ茅輪は大型化していき、やがて社頭に設置し、これを潜る事で祓除を行うという形になって今日に至っています。
今日作った茅輪は、明日から社頭に舗設させて頂きますので、30日午後3時から斎行される「夏越の大祓」の神事に参列できない方は、明日から30日までの間に茅輪を潜りにお越し下さい。お待ちしております。
(田頭)