西野神社 社務日誌

札幌市西区の西野・平和・福井の三地区の鎮守(氏神様)であり、縁結び・安産・勝運上昇等の御神徳でも知られる西野神社の、公式ブログです。

平成28年 新嘗祭

戦前は「新嘗祭」(にいなめさい)という祭日で、戦後は「勤労感謝の日」という祝日に改められた、本日11月23日、当社では例年通り午前11時から大祭の「新嘗祭」が執り行われましたが、その大祭に先立ってまず午前9時半から、参集殿にて総代会の定例会議が開かれました(この会議は、毎年新嘗祭の日に合わせて開催されています)。

会議の開会に当たって、まず大坊総代長須浪宮司がそれぞれ挨拶をし、それから、本年の秋まつりの関連報告や、どの神社にとっても例祭時期と並んで年間最大の繁忙期となる年末年始の事業計画についての協議などが行われました。

平成28年11月 西野神社総代会

平成28年11月 西野神社総代会


そして、総代会の会議が閉会した後、午前11時からは社殿に於いて、当社では本年最後の大祭となる「新嘗祭」の神事が執り行われました。
新嘗祭は、その年に収穫された新米や新酒を天地(あめつち)の神様に捧げて、天皇陛下と国民が一体となって神々に感謝し神威を蒙る、代表的な稲作儀礼、国民的な祭典として、古代より連綿と受け継がれ執り行われてきた祭事で、その歴史は古く、一説よると飛鳥時代から斎行されていたとも云われています。
古代に於いては重要な国家儀礼のひとつでもあり、現在の神社神道に於いても、「大祭」「中祭」「小祭」の3つの祭祀区分では最も重儀の「大祭」に位置付けられている祭典です。ちなみに、「新嘗」とは、その年に収穫された新しい穀物の事です。

今日は、宮中や、伊勢の神宮を始めとする全国各地の神社でも新嘗祭が斎行され、宮中の新嘗祭では、天皇陛下御自らが五穀の新嘗を宮中奥深く御所にほど近い神嘉殿にお供えして、天照大御神様を始めとする天神地祇に神恩を感謝された後、陛下御自らもお召し上がりになる神事として御親祭遊ばされ、数ある宮中恒例祭祀の中でも最も重要な祭典(大祭)として執り行われます。
ちなみに、年毎の新嘗祭に対して、天皇の即位後、宮中で初めて行われる一世一代の新嘗祭は特に「大嘗祭」(だいじょうさい)と呼び、年毎の新嘗祭とは区別されています。

今日の西野神社新嘗祭には、例年同様、当社の松澤権禰宜が親族の方々と一緒に札幌の隣町・当別町にある500坪程の水田で自作したお米が奉納されました。お米は12〜13俵程収穫され、大前にはそのうちの約30kgが奉納されました。
以下の写真はいずれも、その水田の風景と当社に奉納されたお米です。

平成25年 松澤家の水田

平成25年 松澤家の水田で収穫された稲穂

平成27年11月 新嘗祭奉献米

平成27年11月 新嘗祭奉献米

下の写真は、当社が所属する北海道神社庁札幌支部から、当社を含む支部管内各神社に奉納された稲穂です。この稲穂は、管内各神社の新嘗祭に奉納するため、江別市内にある札幌支部神饌田で収穫されたものです。

平成27年11月 新嘗祭奉献米


当社で斎行された今日の新嘗祭には、招待者の方々(当社氏子区域内各地区の農事組合長さん達、市議会議員さん、元衆議院議員さん、萬燈保存会神力會敬神婦人会氏子青年会皐月会西野神社各崇敬会代表者)、当社の責任役員の方々、総代長以下総代の方々など、40名近くの方々が参列して下さいました。

新嘗祭では、まず最初に修祓(お祓い)が行われました。
下の写真は、その修祓の際に撮られたもので、祓主(はらいぬし)と大麻所役(おおぬさしょやく)を奉仕した松澤権禰宜が、幣殿の祓戸で祓詞(はらえことば)という短い祝詞を奏上している間、低頭している参列者の皆さん方の様子です。
修祓は、新嘗祭に限らずどの祭典に於いてもまず一番最初に行われ、祭典に参列している人達は、祓主による祓詞奏上が終わった後はその場で起立(但し立礼の場合)して、低頭(座礼・立礼に関係無く)し、お祓いを受けます。

平成28年 西野神社新嘗祭

下の写真は、総代幣帛(そうだいへいはく)の伝供(でんく)が行われている様子で、大角に載せられた総代幣帛は、大坊総代長から神職達によって伝供され、本殿外陣に置かれているの上へと献幣されました。

平成28年 西野神社新嘗祭

宮司による祝詞奏上の後は、神社本庁制定祭祀舞のひとつである朝日舞の奉納が行われ、本年の新嘗祭でも例年通り、私が大前にて舞わせて頂きました。ちなみに、当社の大前で朝日舞が奉納されるのは、4月の春季例祭と11月の新嘗祭の、年に2回です。

平成28年 春季例祭

下の写真は、宮司玉串拝礼の直ぐ後に行われた、参列者の皆様方による玉串拝礼の様子で、この写真は、来賓の飯島弘之 市議会議員が、玉串後取の門権禰宜から玉串を受け取るところです。

平成28年 西野神社新嘗祭

なお、今日の新嘗祭では、神事の都合上そのシーンは撮影しておりませんが、本殿御扉の開扉時と閉扉時、門権禰宜により、笙(しょう)という和楽器の吹奏が行われました。笙は、奈良時代に唐から伝来したと云われる、17本の長短の竹管を環状に立てた、雅楽に用いる管楽器です。


そして、新嘗祭の後、午前11時45分頃からは、昼食を兼ねた直会(なおらい)が開かれました。直会では、大前よりお下げした新嘗祭専用の御神酒「白酒」(古式ゆかしく醸します濁酒で独特の風味を持つお酒)を、出席して下さった皆様方にお分かちしました。

平成25年 新嘗祭白酒

直会に出席して下さった皆様方は、御神酒やその他のお酒を飲みながら、大いに懇親を深められていたようでした。

平成28年 西野神社 新嘗祭直会

平成28年 西野神社 新嘗祭直会


なお、今日の総代会と、祭典・直会の様子を写した写真は、「西野神社アルバム」の平成28年11月「総代会、新嘗祭直会」のページ(以下のURL)にも多数掲載させて頂きましたので、宜しければこちらも御覧下さい。

http://f.hatena.ne.jp/nisinojinnjya/281123%20%E6%96%B0%E5%98%97%E7%A5%AD/?sort=old


ところで、最後に「新嘗祭」と「勤労感謝の日」の関係についても少し触れておきますが、結論からいうと、同日でありながら両者にはほとんど関係性や繋がりはありません。
そもそも宮中の新嘗祭の主旨は、「天皇陛下が大神様に五穀豊穣を感謝する」事にあり、それに対して勤労感謝の日は主旨は、「勤労を尊び生産を祝い、国民が互いに感謝し合う」事にあり、全く違うものだからです。
新嘗祭神道色が強かった事から、戦後、GHQの指示により祭日としては廃止される事になり、それに伴い、祝日の勤労感謝の日がたまたまその日に振り当てられたのです。ですから、勤労を感謝する(働いている人に感謝の気持ちを伝える)のは大いに結構な事ですが、勤労を感謝するその記念日が11月23日である必然性は、実際には何もありません。神様の恵みに感謝する日に、人間の勤労に感謝するというのは、本来であればちょっとおかしな話でもあるのです。


(田頭)

人気blogランキングへ