西野神社 社務日誌

札幌市西区の西野・平和・福井の三地区の鎮守(氏神様)であり、縁結び・安産・勝運上昇等の御神徳でも知られる西野神社の、公式ブログです。

宮中での「大嘗祭」と神社での「大嘗祭当日神社に於て行ふ祭祀」について

平成19年11月2日付の記事の【11月23日】の項で詳述した通り、宮中では毎年11月23日に、「新嘗祭」(にいなめさい)という大祭が大変厳かに執り行われております。

天皇陛下御自らが五穀の新嘗を、宮中奥深く御所にほど近い神嘉殿(宮中三殿と連なって一体となっている殿舎)にお供えして、天照大御神様をはじめとする天神地祇に神恩を感謝された後、陛下御自らもお召し上がりになる神事として御親祭遊ばされ、皇族の方々や、総理大臣・衆参両院議長、最高裁判所長官なども参列される、宮中恒例祭典の中で最も重要な祭典です。

宮中での新嘗祭のうち「夕(よい)の儀」が始まるのは、この時期としては辺りがすっかり暗くなる午後6時で、天皇陛下は侍従に松明(たいまつ)で足元を照らされて(明かりはその松明のみ)神嘉殿に入られますが、その夕の儀が終了するのは午後8時で、更に午後11時からは同様の次第で翌24日の午前1時まで「暁(あかつき)の儀」が執り行われ、つまり、これらの神事は各2時間、計4時間にも及びます。
下の写真は、平成25年11月23日に宮中で行われた新嘗祭の様子で、純白の御祭服を御身に纏われた天皇陛下(当時 御位に即いておられた、現在の上皇陛下)が神嘉殿に入られる所です。

平成25年に斎行された宮中での新嘗祭

 

以上の内容が、平年の新嘗祭ですが、本年(令和元年)については、宮中では新嘗祭という名の祭典は斎行されません。
どういう事かというと、毎年行われる新嘗祭に対して、新たな天皇が即位されてから宮中で初めて行われる「即位後初めての新嘗祭」だけは、例年の新嘗祭以上に特別な重儀として執り行われる事から「大嘗祭」(だいじょうさい)と呼ばれ、年毎の新嘗祭とは区別されており、つまり今年は、宮中では新嘗祭としてではなく、今上陛下にとって一世一代の大嘗祭として、極めて特別な大祭として執り行われるのです。
この大嘗祭は、皇居の敷地内に古代の工法そのままの簡素な形で仮設される、大小約30棟の木造平屋の建屋から構成される殿舎「大嘗宮」に於いて執り行われます。ちなみに、これらはあくまでも仮設の建築であり、大嘗宮を構成する殿舎はいずれも、大嘗祭が終わると撤去されます。

令和元年「大嘗祭」の日程案内

 

令和の大嘗祭が、その大嘗宮で斎行されるのは、本年11月の14・15両日で、それに伴い、宮中で毎年11月23日に斎行されている新嘗祭は、本年については執り行われない事になります。
毎年11月23日には、当社を含め全国の神社でも、同名の大祭として新嘗祭が斎行されていますが、宮中同様 本年は神社に於いても、大正4年7月5日の勅令第百九号で『大嘗祭を行ふ年には官国幣社以下神社に於て新嘗祭を行はず大嘗祭当日祭祀を行ふ其の祭祀は大祭とす』とされている事に倣い、例年通りの形での新嘗祭は行われない事になります。

具体的には、当社の場合は、11月に新嘗祭と同趣旨の大祭を行いはするものの、その斎行日は例年の11月23日ではなく、本年に限り、宮中の大嘗祭に合せて11月15日とします。
但し、これはあくまでも当社での事例であり、前述のように大嘗祭は11月14・15両日なので、神社によっては、15日ではなく14日のほうに合せて斎行する事もあるでしょうし、諸般の事情により、その両日以外の日にちに行うという事も有り得ます。
祭典名については、神社本庁からの通知によると「大嘗祭当日神社に於て行ふ祭祀」とされていますが、その名のままだといかにも仮称っぽいので、神社によっては「大嘗祭当日祭」「大嘗祭奉祝祭」などの名で行われるかもしれまん。

 

なお、昨年の西野神社新嘗祭については、以下の記事で詳述しておりますので、神社での新嘗祭(内容や次第は兎も角、斎行の趣旨は、宮中での新嘗祭と概ね同じです)について興味のある方は、こちらの記事も併せて御一読下さい。
https://nisinojinnjya.hatenablog.com/entry/20181123

 

ちなみに、『従前、十一月二十三日に行はれ、社会慣行となってゐる神事・行事については、「神社祭祀規定」第七条にいふ「諸祭」として斎行することを得』という規定があるため、神社によっては、前述の「大嘗祭当日神社に於て行ふ祭祀」とは別に、新嘗祭という名こそ使わないものの例年通り11月23日にも大祭を執り行う、という所もあるようです。
一般の民社ではそういった事例はなかなか無いと思いますが、例えば、神田なり神饌田なりを所有している神社では、毎年11月23日に大前に奉献する日程で田植えや稲刈り等の農作業を進めているため、本年に限り新嘗祭の日に一切行事は行わない、というわけにはいかなかったり、あるいは、新嘗祭の日に恒例の奉納行事があったり、もしくは、新嘗祭の日に来賓の方々を早くから多数招待していて今更日程の変更は難しい、など様々な事情から、本年は「新穀勤労感謝祭」「新穀感謝祭」「勤労感謝祭」などの祭典名に、またはその他の祭典名に名称を変えた上で11月23日に大祭を行う、という神社もあるそうです。当社の場合は、本年に限り、11月23日には大祭は行いません。

 

文責:西野神社権禰宜 田頭