西野神社 社務日誌

札幌市西区の西野・平和・福井の三地区の鎮守(氏神様)であり、縁結び・安産・勝運上昇等の御神徳でも知られる西野神社の、公式ブログです。

奉祝 立皇嗣の礼

平成28年 西野神社 紀元祭の日の朝の境内

 

宮中では昨日(11月8日)、秋篠宮皇嗣殿下秋篠宮文仁親王殿下)が皇位継承順位第1位(次の皇位継承者)を意味する「皇嗣」となられた事を天皇陛下が国の内外に宣明せられ、皇嗣の象徴である「壺切御剣 (つぼきりのぎょけん)」を天皇陛下皇嗣殿下へお授けになる、一連の儀式「立皇嗣の礼(りっこうしのれい)」が執り行われました。
立皇嗣の礼は、当初は本年4月19日に執り行われる予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により延期されておりました。

昨日の立皇嗣の礼では、具体的には、先ず宮中三殿にて皇室の行事として「賢所皇霊殿神殿に親告の儀」が斎行され、その後、国の行事として宮殿松の間にて「立皇嗣宣明の儀(りっこうしせんめいのぎ)」が挙行され、続いて、皇室の行事として宮殿鳳凰の間にて「皇嗣に壺切御剣親授」、皇室の行事として宮中三殿にて「賢所皇霊殿神殿に謁するの儀」、国の行事として宮殿松の間にて「朝見の儀」が、それぞれ厳粛に執り行われました。
下の写真は、立皇嗣の礼の中でも特に中心的な儀式である「立皇嗣宣明の儀」の様子で、この時天皇陛下束帯装束の黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)を、皇嗣殿下は、歴代の皇太子が着用された束帯の黄丹袍(おうにのほう)を、それぞれ纏われました。

立皇嗣の礼

 

この度の立皇嗣の礼は、当時皇太子であられた今上陛下の31歳のお誕生日(平成3年2月23日)に執り行われた「立太子(りったいし)の礼」をほぼそのまま踏襲し、「宮中饗宴の儀」(祝宴)や、「一般参賀」(記帳)などは感染対策により取り止めとなったものの、「立皇嗣宣明の儀」や「朝見の儀」などは、規模は縮小されたもののほぼ予定通りの形で大変厳粛に執り行われました。下の写真は、朝見の儀の様子です。

立皇嗣の礼

 

なお、前出の「立太子の礼」とは、在位中の天皇の皇男子が皇太子である事を天皇が内外に宣明せられる行事で、秋篠宮皇嗣殿下は歴史用語でいう所の「皇太弟」に当たり、現在の政府や宮内庁の解釈でいう所の「皇太子」ではないため、そういった状況を鑑みてこの度は皇位継承順位第1位の皇族を指す呼称「皇嗣」(皇太子、皇太孫、皇太弟など、どのお立場であっても次期皇位継承者は皇嗣と総称されます)が公式に用いられ、「立太子の礼」としてではなく、あえて前例のない「立皇嗣の礼」として執り行われたようです。

ちなみに、戦前から戦中にかけて帝国学士院によって編纂された「帝室制度史」の第4巻には、『皇嗣の冊立ありたるときは、その皇嗣が皇子又は皇孫なると、皇兄弟又は其の他の皇親なるとを問はず、之を皇太子と称す。冊立に依りて皇嗣たる身位始めて定まり、皇太子の称亦始めて之に伴ふ。時としては、皇弟を立てて皇嗣としたまふ場合は、特に皇太弟と称したまへる例あり』という記述があるため、戦前・戦中期に於いては、それが現実的であったかどうかは兎も角 解釈上は、もし皇子(天皇の実子)がおられない場合は皇兄弟(天皇実弟などで、現在に於ける秋篠宮皇嗣殿下のお立場にある親王)が正式に皇太子もしくは皇太弟と称される可能性もあったようです。
また江戸時代以前であれば、皇弟が、天皇の「猶子」(正式な養子縁組よりはもっと緩やかな擬制的親子関係)となる事で、皇太子に立てられた事例もあったようです。

 

昨日の「立皇嗣宣明の儀」には、天皇皇后両陛下や秋篠宮皇嗣同妃両殿下のほか、9人の皇族方が参列され、内閣総理大臣など三権の長や外国の大使の代表など46人も正装で臨みました。
天皇皇后両陛下、秋篠宮皇嗣同妃両殿下、菅内閣総理大臣を除く全員がマスクを着用し、参列者同士も十分な間隔を空け、戸も開放して換気するなど、感染防止対策を徹底した上で行われ、およそ15分で終了しました。

また、「皇嗣に壺切御剣親授」では、三種の神器同様皇室に伝わる由緒物のひとつで、歴代の皇太子に伝わる守り刀「壺切御剣」が、天皇陛下より秋篠宮皇嗣殿下に授けられました。

立皇嗣の礼

以上の事から、前例の無い新儀として初めて執り行われたこの度の「立皇嗣の礼」は、名称が異なるだけで実態としては「立太子の礼」とほぼ全く同じであり、「皇嗣殿下」という新しいお立場も、当今の陛下と親子関係では無いという点以外は「皇太子殿下」とほぼ全く同じであると解されます。

 

立皇嗣の礼が行われるのに先立って、天皇陛下伊勢の神宮へ勅使を差遣されており、そのため昨日は神宮でも、その勅使をお迎えして「立皇嗣の礼につき奉告祭」が斎行されました。以下の写真2枚は、神宮でのその奉告祭の参進の様子です。
そして、昨日は伊勢の神宮のみならず全国の神社に於いても、挙って祝意が表され、天皇陛下皇嗣殿下の益々の御健勝と皇室の弥栄、我が国の一層の発展、世界の平和と共存共栄などが、全国各地の神職達により祈念されました。

立皇嗣の礼につき奉告祭(神宮)
立皇嗣の礼につき奉告祭(神宮)

 

当社の神職一同も、この度の慶事立皇嗣の礼」を謹んでお祝い申し上げると共に、皇室の弥栄を改めて御祈念申し上げます。
ちなみに、立皇嗣の礼が恙無く執り行われた事により、昨年4月の「退位礼正殿の儀」から始まった皇位継承に伴う一連の国の儀式は、全て終了しました。

 

文責:西野神社権禰宜 田頭