先月はあまり外祭がありませんでしたが、今月からは地鎮祭の予約が増え、雪が解けたことでいよいよ建築シーズンが到来した感です。この時期は、解けた雪により地盤は泥状であることが多く、特に先月下旬頃は、草履、足袋、袴の裾など、足元の方は大抵祭典毎に汚していましたが、今月からは、乾いた地盤の現場が多くなってきており、地鎮祭が斎行しやすくなってきています。
地鎮祭は、家を建築する前に土地を祓い清めて工事の無事安全を祈願するための祭典、と解している方が多く、実際、祭典のなかでは確かに工事の無事安全を祈願いたしますが、地鎮祭の本義は、その土地に坐します神様たちにこれからこの土地を使わせていただきます、と御奉告をさせていただくことにあり、つまり、本来の地鎮祭は、安全祈願祭というよりも“土地借用の儀式”としての性格が強い神事です。
土地に鎮まる神様に土地を使わせていただく御奉告をすることで、その土地にまつわる悪い因縁を断ち切って、家が建った後もずっと神様の御加護を頂くことができます。最近は地鎮祭を省略して家を建てる方も増えてきているようですが、やはり地鎮祭は可能な限り斎行した方が良いでしょう。
（田頭）
