松澤権禰宜は、本日を以て西野神社を定年退職します
新嘗祭について書いた先月23日付の記事の中でも少し触れましたが、当社の松澤権禰宜は、満65歳の誕生日を迎える本日・12月4日を以て、西野神社を定年退職致します。
今後も、年末年始など神社が忙しい時は神社に出社して奉仕して下さるとの事ので、私達職員も松澤さんには引き続きいろいろとお世話になる事となりますが、常勤の職員として定年を迎える本日は、松澤さんにとっても私達職員にとっても、ひとつの大きな節目となります。
今日の記事に掲載するため松澤さんにお願いして書いて貰った、この度の定年退職を迎えるにあたっての皆様への挨拶の文章を、以下の鉤括弧内に転載致します。松澤さん、約23年間にも亘る西野神社での御奉仕、本当にお疲れ様でした!
『定年退職にあたり一言挨拶申し上げます。
西野神社に奉職して二十二年と十ヶ月間、その間、大神様のご加護の下、神社関係各位の方々に、ご指導ご鞭撻を戴きながら大過なく御奉仕出来ました事に、心から感謝しております。
会社務め十九年、事業経営五年、そして神職二十二年と色々と人生経験をさせて頂きましたが、本当に長いようで短かったという感であります。
その間、時代の流れが著しく進歩、変化しました。
特に情報革命と申しますが、固定電話、ポケベルから携帯電話、スマホ、そしてワープロからパソコン、またタブレット、カーナビ、とアナログからデジタルへとインターネットで世界の情報交流など、まさしく情報化時代であります。
新しい情報の収集分析が時代を勝ち抜く一つの手段でも有ります。
その反面、神社は昔ながらの良き伝統・文化を守り伝えていくことを第一義とします。
しかし、神社もこの情報化時代に合わせた手法を取り入れながら、古き良き神ながらの道を護り伝えていかなければならないと思います。謂わば、不易流行であります。
亦、吾々は日本の伝統精神文化というものを、祖先から受けて子孫に伝えるのでありますが、受けたそのままを伝えるのではなく、常に本義に沿って、何物かを付け加え、より良いもの、より高く大きなものにして、次の時代に伝えることを期するべきではないでしょうか。修理固成
これからは、微力ながら私自身最後のご奉仕と思い、陰ながらそのお手伝いをさせて頂ければと思っております。
最後になりましたが、西野神社、氏子崇敬者等皆様方の、益々の弥栄と平安を御祈念申し上げますと共に、奉職中は須浪宮司夫妻を始め、職員、神社関係各位の皆様方には大変お世話になりました。有り難うございました。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
西野神社は、今でこそ7人が神職として在籍していますが(但しそのうち、宮司の奥さんと私の妻の2名は、神職としては非常勤ですが)、昭和50年頃までの西野神社は、別の神社が兼務するお宮のひとつであり、神職は一人も常駐していませんでした。一応、神職ではない老夫婦が管理人として、西野神社の社務所に常駐はしていたそうですが。
今から約40年程前の昭和51年に、当時、別の神社の前宮司であった方が、初めて西野神社の本務宮司として常駐するようになり、そして、今から約26年前、当時某神宮の権禰宜であった現宮司が西野神社の本務宮司となり、奥さんと共に夫婦で社務所に常駐するようになりました。
西野神社はその後段々と忙しくなってきたため、今から約23年前、当時別の仕事に就いていた松澤さんが、転職する形で当社の正職員として新たに採用され、以後、私を含めて数人の神職達が西野神社の職員として採用されていきました。
つまり、松澤さんは、西野神社にとっては“第1号”となる初めての職員であり(但し、法人の代表役員である宮司は、ここでは職員の範疇に含めないとします)、そして、以後採用された職員達は、本人の一身上の都合により退職したたった一人を除いて全員が今も職員として在籍しているため、西野神社にとって今回の松澤さんの定年退職は、明治18年に当社が創建されて以来132年の歴史の中で、実は初めて迎える“職員の定年退職”という事になります。
明日から、神社本庁に届け出ている書類上での西野神社登録神職数は、1人減って6人となりますが、松澤さんは明日以降も“権禰宜待遇”として暫くは出社して下さるとの事なので、私達後進には引き続き御指導・御鞭撻をお願いしたく思うと同時に、これからは、松澤さんが今まで担ってきた多くの仕事を私達後進が責任を持って遅滞無く適格に引き継いでいく決意を、職員全員で新たにしている所でもあります。
ちなみに、前述のように西野神社は65歳を定年退職の歳としておりますが、これはあくまでも当社の場合の話しです。
何歳を以て定年退職となるかは各神社によって異なりますし、神職が宮司一人しか在籍していないお宮や、職員がおらず家族だけで運営している神社などでは、そもそも定年退職の年齢は定まっていない事のほうが一般的です。実際、全国的にみると、70代や80代の現役の神職さん達は沢山いらっしゃいます(たまに90代で現役の方もいらっしゃいます)。
65歳で定年退職というのが神社界共通の全国的な決まり事、というわけではありませんので、その点は誤解無きようお願い致します。
(田頭)