西野神社 社務日誌

札幌市西区の西野・平和・福井の三地区の鎮守(氏神様)であり、縁結び・安産・勝運上昇等の御神徳でも知られる西野神社の、公式ブログです。

招き猫

招き猫

当社で授与品として扱っている招き猫は、白、黒、赤、金、銀の5色があり、いずれも大きさは小振りで、高さは約5.5㎝程です(写真参照)。招き猫とは、よく知られているように右もしくは左の前足で人を招く形をした猫の置物のことで、お多福や福助と並んで商売繁盛や金運を招く代表的な縁起物です。

招き猫の由来にはいくつかの説があり、どれが正しいのかは判然としないのですが、最も広く知られているのは豪徳寺(東京都世田谷区)が発祥であるという説です。ある時、狩りに出かけた帰りに井伊直孝彦根藩第二代藩主)が豪徳寺というお寺の前を通りかかると、門前にいた猫が片手を上げて直孝をしきりに招き入れる仕草をしました。直孝が不思議に思いつつも門の中に入った途端、門前に雷が落ち、直孝は九死に一生を得て、これが縁となって、それまで貧乏だった豪徳寺は井伊家の菩提寺となって大いに栄えたと云われています。この猫は豪徳寺の住職に可愛がられていた寺の飼い猫と伝えられているので、豪徳寺の側にとっては、これは「鶴の恩返し」などと同様の一種の動物報恩譚と言えるでしょう。

他にも、東京都新宿区の自性院が発祥という説(江古田ケ原の戦いで劣勢に立った太田道灌の前に、猫が現れて手招きをし自性院に案内し、これがきっかけとなって道灌は盛り返すことに成功したという話)や、両国の「金猫銀猫」という名の女郎屋が店先に飾ったのが最初であるという説、吉原の薄雪太夫という花魁の飼い猫をモデルに作られたという説などがあり、招き猫の元祖がどこであるのかははっきりとは分かっていません。

元々猫は、犬とともに人間にとっては昔から最も身近な動物でしたが、犬に比べると不思議な行動をすることが多いため、猫は人々から可愛がられると同時に、その習性の不気味さから魔物とも考えられてきました。例えば、尻尾が二股に分かれるまで年老いた猫は神通力のある「猫又」として恐れられたり、行灯の油を舐める「化け猫」という妖怪の話が伝えられたり、猫を殺すと七代祟られるなどと言われたりし、また現在でも、黒猫が前をよぎると不吉の前兆などとも言われたりします。こうした猫の不思議な霊力は、恐ろしいものとされる一方、未来を予知するものとして尊ばれもし、それが、招き猫という縁起物に昇華していったのかもしれません。

(田頭)