西野神社 社務日誌

札幌市西区の西野・平和・福井の三地区の鎮守(氏神様)であり、縁結び・安産・勝運上昇等の御神徳でも知られる西野神社の、公式ブログです。

伊勢神宮展奉仕

悠久の舞

昨日と今日の二日間はいずれも、午前中は神社に出社し、午後からはスーツに着替えて札幌三越10階で開催中の「伊勢神宮展」へと行き、三越の閉店時刻(午後8時)まで会場係(会場の案内、御神宝の警備、写真撮影、その他雑用など)として御奉仕させて頂きました。

神宮展で奉仕する札幌支部管内の神職達は「北海道神社庁」と記された腕章を付けるため、会場を訪れたお客様達からはいろいろと質問をされたり説明を求められたりすることが多く、私の場合、答えられる範囲内での質問(神棚やおふだのお祀りの仕方、北海道内の神社のことなど)には答えさせて頂きましたが、神宮の祭事や御神宝、式年遷宮について質問をされた時は、一言二言簡単に答えた後「詳しくはあちらの方にお訊き下さい」と言って神社本庁職員の詰めている神社本庁コーナーや伊勢神宮崇敬会コーナーへお客様を案内させて頂きました(笑)。

私の場合、特に変わった質問をされることはありませんでしたが、私のすぐ近くに立っていた青年神職文月会のN会長は、中年の女性の方から「正服の着装体験では自分も着てみたかったのだが、男性専用の装束だから女性は着れないと言って断られた。これはセクハラではないのか」「装束店によっては、神職以外の人には装束を売ってくれない所もある。その理由を尋ねたら、一般の方に装束を売ると宮内庁神社本庁神社庁などに怒られてしまうから、と言っていた。神社本庁はちょっと頭が硬いのではないか」といったかなり筋違いな質問(というより苦情)を受けておられました。N会長、お疲れ様でした(笑)。

会場に設営された特設舞台では、昨日は午後1時と3時から、北海道神宮神職6名による雅楽の演奏(平調音取、平調越天楽、陪臚、さくらさくら)と巫女2人による「悠久の舞」の奉奏が行なわれました。貼付の写真が、神宮展の舞台で昨日舞われた「悠久の舞」の様子で、本来は4人で舞う舞なのですが、会場の舞台の広さの都合から昨日は2人で舞って戴きました。この舞は、昭和15年、皇紀二千六百年を奉祝して作曲・作舞された舞で、春は右手に桜の花を、秋は菊の花を持って舞う、とても優雅な舞です。

そして今日は、同じ舞台で午後1時と3時から、野幌太々神楽(のっぽろだいだいかぐら)伝承会の会員さん達12名により、野幌太々神楽の20舞の中から「神勇」「鎮護鉾」「悪魔祓」の3舞を奉奏して戴きました。この神楽は、江別市の東野幌地区開拓のために屯田兵と共に入植した北越殖民社の人々の故郷、新潟県魚沼・蒲原・古志地方の神楽の伝統を受け継いでおり、昭和48年には江別市無形文化財に指定されています。

会場係の私は、この2日間ずっと立っていることが多かったため、足が多少疲れましたが、しかし、もし札幌で再び神宮展が開催されるとしたら次の遷宮(20年後)に合わせての機会になるでしょうから、今回、20年に一度の神宮展にこのように直接関わることができたのは、私にとってとても貴重な経験となりました。正宮(外宮)で実際に使われていた御扉、神宮で使われていた祭器具や土器類、錦御衣や御鏡などの御神宝、神宮所蔵の絵巻や書物など、神宮にまつわる大変貴重な品々を、伊勢から遠く離れた札幌の地で直接見ることができたことも、普段なかなか伊勢に行く機会のない私にとってはとても意義深いことでした。

三越側の規程により、従業員や館内に出入りする業者・関係者は、業務用の入口、階段、エレベーターしか使うことができず、何箇所も設置されているお客様用の玄関、階段、エスカレーター、エレベーター等は例え閉店後であっても使うことが固く禁じられており、また館内の通路を歩く際にも、従業員や関係者は中央は歩かずになるべく壁際を歩くようにといった細かい規程があったため、店内ではちょっと窮屈な感じもしましたが、普段なかなかデパートに行く機会のない私にとっては、それもある意味新鮮な体験といえました(神職になる前、デパートの中にテナントとして入っていた書店で勤務していたことがありましたが、そこではここまで厳しくなかったです)。

もっとも“窮屈”とはいっても、奉仕時間中に休憩を1時間頂いて皆で喫茶店に行ってきたり、午後6時過ぎ頃には控え室で夕食の弁当を貰って食べたりなど、休む時間はそれなりにあり、また、閉店間近のお客様の空いている時間帯には同じフロアで開かれていた三重の物産展で買い物をしてきたりと、実は、私はそれになりに会場を満喫していました(笑)。

なお、札幌三越で開催された今回の伊勢神宮展には、今後「伊勢神宮展」を開催する予定の東京都、山梨県熊本県などからも神社関係者の方々が視察に来られていました(会場となるデパートの職員を伴って視察に来ていた神職もおられました)。伊勢神宮展は、今後、全国の主要都市で順次開催されていくことになるでしょう。

(田頭)