西野神社 社務日誌

札幌市西区の西野・平和・福井の三地区の鎮守(氏神様)であり、縁結び・安産・勝運上昇等の御神徳でも知られる西野神社の、公式ブログです。

この時期の地鎮祭

今月の中頃まではまだ結構寒い日が続いていましたが、下旬になってからは、暖かい日が続いたり雨が降ったりするなどしたため、境内の雪はかなり溶けてきており、参道駐車場の一部では、溶けた氷雪の下から石畳や砂利などの地面が見えるようになってきています。しかし、この「雪が溶けかけている時期」というのは、実は結構大変です。神職にとっては、特に地鎮祭が大変です。

地鎮祭は、家(もしくは会社・事務所・工場・店舗など)の着工に先立ってその現場で行う祭典ですから、上棟祭竣工祭(屋祓)のように屋内で執り行う訳ではなく、直接その土地の地面の上で斎行するのですが、この時期の地面というのは、溶けかけている雪と雪の下にある土が混じり合ってぬかるみ、泥状になっている事が多く、そういった状況では、どんなに注意をしても祭器具は汚れますし、神職の袴や装束等にも泥が跳ねてしまいます(特に足下は大変な事になります)。そういった事情から、この時期の地鎮祭は、直接土の上では行わず、土の上にブルーシートもしくはコンパネを敷き、その上を斎場として執り行う事もあるくらいです。

ところで、地鎮祭とは、家を建築する前に土地を祓い清めて工事の無事安全を祈願するための祭典、と解している方が多く、実際、祭典の中では確かに土地を祓い清めたり工事の無事安全を祈願したりしますが、地鎮祭の本義は、その地域の鎮守の神様や土地に宿っておられる神様達に対して、これからこの土地を使わせて頂きますと御奉告をする事にあり、つまり、本来の地鎮祭は、安全祈願祭というよりは、「神様に対して土地借用を願い出て、その上で着工の御奉告・挨拶をする儀式」としての性格が濃い神事といえます。

施主(建主)が神職を通して、鎮守の神様や土地の神様にこの土地を使わせて頂きますと丁寧に奉告・挨拶をする事で、もしその土地に何らかの悪い因縁があるようであれば神様の御力によりそれらは断ち切られ、家が建った後もずっと神様の御加護を頂く事ができるようになるのです。最近は地鎮祭を省略して家を建てる方も増えてきているようですが、やはり地鎮祭は可能な限り斎行した方が良いです。

(田頭)

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