3年ぶりに一般参列者の方々を迎えて「夏越大祓式」を開式しました
一年の折り返し(本年上半期の最終日)となる6月末日の今日、当社では午後3時から、毎年恒例の神事「夏越大祓式」(なごしおおはらえしき)を執り行いました。
神社本庁発行の「神社祭式同行事作法解説」によると、『大祓(おおはらへ)は、祓物(はらへつもの)を出して、祓戸(はらへど)の神の神威により、罪穢を解除(げじょ)する儀』との事で、随分と難解な言い方をされていますが、分かりやすく言い換えると、『大祓(おおはらえ)は、氏子・崇敬者の皆様方が、この半年間に知らず知らずのうちに犯してしまった諸々の罪・穢れ等を、人形(ひとがた)・撫物(なでもの)・雛形(ひながた)などのうちいずれかの形代(かたしろ)に移して祓い清め、次の半年間の無病息災を願う神事』です。
当社では毎年2回、6月末日と12月末日に斎行しており、6月末日の大祓は「夏越(なごし)の大祓」もしくは「水無月(みなづき)の大祓」と言い、12月末日の大祓は「師走(しわす)の大祓」と言います。
大祓や茅の輪(ちのわ)の概要などが記されている下の画像は、神道青年全国協議会の事業品として作られた、社頭配布用リーフレットです。この画像はクリックすると拡大表示されますので、是非拡大の上御覧下さい。
ちなみに、このリーフレットに描かれている「スサノオと蘇民将来のおはなし」と題されている四コママンガは、当社権禰宜である越川画伯が作画したものです。
当社に於いては、年に2回あるその大祓のうち、6月(夏越)の大祓式は、例年、屋外(拝殿向拝前)にて、多くの方々に御参列して戴いた上で斎行しておりますが、昨年と一昨年については、当時の厳しい社会状況(感染症の世界的・全国的な急増)を鑑みて、所謂「密」を避ける趣旨から神職のみにて執り行いました。
しかし本年については、今月3日付の記事や今月25日付の記事でも御案内した通り、再拡大の懸念は消えておらず依然としてまだ予断を許さない状況ではあるものの感染症が現時点では一応収束しつつある現状も踏まえ、令和元年斎行の夏越の大祓以来3年ぶりに、本来の形(皆様方にも御参列戴ける形)で斎行させて頂きました。
以下の写真10枚はいずれも、本日執り行われたその大祓式の様子です。斎主以下祭員3人と典儀1人の計4人にて、例年通り粛々と御奉仕させて頂きました。
参列者数は、コロナ禍前であった3年前の夏越大祓式に比べるとやはりかなり少なかったですが、それでも、まだ感染症が完全には終息していないこの状況下にしては、むしろ沢山の方々が来て下さったと思います。
ちなみに、式中の次第「祝詞奏上」では、斎主が「今日参列された皆様方や、事前に人形(ひとがた)を納められた方々の、この半年間の諸々の罪穢れが祓い清められますように。そして、明日から始まる今年の残り半年間も、神様の御加護を戴いて事故や災い等に遭う事なく日々平穏に過ごす事が出来ますように」という趣旨の祝詞を、神様の鎮まっておられる本殿に向かって奏上しましたが、その祝詞奏上よりも前にある次第「大祓詞を宣る」では、大祓詞を、神様が人の口を使って人に対して述べられる「宣読」(宣る、宣う)という形を採っているため(つまり神様への「奏上」ではないのです)、宮司は本殿ではなく参列者と対面しました。
上に貼付の写真の中で、宮司が参列者に背を向けて本殿に対して祝詞を広げている場面があったり(通常の祭典に於いてはこれが本来の形です)、逆に、宮司が本殿に背を向けて参列者に対して祭詞を広げている場面があったりするのは(これはほぼ大祓式でしか見られない光景かなと思います)、そのためです。
以下の動画2本は、平成26年(8年前)と令和3年(昨年)の、それぞれの夏越大祓式での「茅の輪くぐり」の様子です。今回の大祓式では動画は撮影しておりませんので、参考動画(イメージ映像)としてここに貼付します。
但し、2本目の動画は、感染症対策のため神職のみの奉仕(参列者無し)で行なっているため、今日の茅の輪くぐりとは少し雰囲気が違うかもしれません。1本目の動画のように、今回は神職と参列者が一緒に茅の輪をくぐりました。
ところで、かなり細かい話になるのですが(多分、大多数の人達にとってはどうでも良い事だと思いますが)、神社祭祀に於ける大祓式の位置付けについても、ここで少し解説させて頂きます。
神社祭祀は、神社本庁が昭和27年に定めた「神社祭祀規程」(昭和27年2月2日規程第11号)に於いては「大祭式」「中祭式」「小祭式」「諸式」の4種に区分され、大祓や遥拝は、それらのうち諸式に分類されていましたが、その後、大祓や遥拝はどちらも「その性質上、祭祀といふべきものではない」と解釈されるようになった事などから、昭和46年に改正された同規程では、神社祭祀は「大祭」「中祭」「小祭」の3種のみとされ、それら3種のいずれにも該当しない、改正前の諸式に分類されていた大祓と遥拝は、現在は、神社祭祀規程とは異なる「神社に於て行ふ恒例式」(昭和46年6月15日規程第8号)に於いて、祭典ではなく恒例式として別に定められています。
そして、その規程「神社に於て行ふ恒例式」が平成18年に改訂された際、その改訂に併せて、今まで同規定で定めてた遙拝と大祓の式次第は同規定から分離・独立する形で、別規程「遙拝及び大祓次第」(平成18年10月13日規程第5号)として新たに制定されました。
当社で本日執り行った大祓式の次第は、その規程「遙拝及び大祓次第」で示されている次第に忠実に則ったものではなく、慣例(所謂一社の故実)により、次第中に宮司一拝、祝詞奏上、玉串拝礼などがあり、そのため当社の大祓式は、「大祓式」という名称を用いつつも実態としては「大祓祭」とでも呼ぶべき内容となっています。
神社によっては、「大祓祭」「夏越祭」「大夏越祭」「夏越祈願祭」「夏越形代流祭」「除疫祭」「家内安全祈願祭」などの祭典名を用いて、名称・内容共に、最初から「式」ではなく「祭」として執り行っている所もあるようです。
他にも、「茅の輪神事」「茅の輪くぐり神事」「輪くぐり神事」などの名称を用いている神社もあり、その名称・内容等は、実は神社によってかなり異なっているようです。
下の動画は、YouTube に於ける北海道神社庁の公式アカウントで公開されている、北海道神宮末社「頓宮」の境内で過去に執り行われた夏越の大祓式の様子です。参考までにここに貼付させて頂きます。
今日の大祓式の様子を写した写真は、「西野神社アルバム」の令和4年6月「夏越大祓式」のページ(下記URL)にも多数掲載させて頂きましたので、宜しければこちらも是非御覧下さい。
https://f.hatena.ne.jp/nisinojinnjya/R040630%20%E5%A4%8F%E8%B6%8A%E5%A4%A7%E7%A5%93/?sort=old
以下のページは、昨年の6月にこのブログにアップした記事ですが、夏越の大祓に合わせて札幌市内各神社の境内に設営された「茅の輪」の写真です。茅の輪の大きさや形状などは神社によってかなり差異があり、個人的にはそれも興味深いです。
https://nisinojinnjya.hatenablog.com/entry/2021/06/29/000000